絵と言葉と

生きることはアートだ。生きるを笑おう、生きるを遊べ!

スカーレット 心に炎を抱くもの

驚いた!何に驚いたって、NHK連続テレビ小説『スカーレット』の今朝のシーン。

ネタバレになります(しかも長文、録画を見ながら思わず書いた)
 
 
「うち、子どもの頃はお父ちゃんに断り入れてた。やりたいことあったら、きちんと話してお願いしますう言うてきた。

結婚してからはハチさんに。やりたいことあったらお願いします言うてきた。

そうやって、ずーっと生きてきた。子どもの頃からずっとや。」

「それが必要なかってん。」
 
節約するために、穴窯に必要な薪を山で拾いながら吹いてきた冬の風に

「ああ気持ちええな・・・。一人もええなあ・・・。」

やりたいことをやるのに断りなど必要ない心地よさに貴美子は気づいてしまう。
 
 
スカーレットは、戸田恵梨香演じる貴美子が、男性ばかりだった陶芸の世界で女性陶芸家の第一人者となる物語。

陶芸家の夫を立てて支えて来た貴美子だったが、自分の作品を作ることに没頭し、電気釜ではなく穴窯で薪を使って焼き上げることに夢中になる。

穴窯というのは、途方もなくお金がかかるらしく、最初は応援してくれていた陶芸家で夫の八郎も、2度の失敗に、穴窯をやめるように説得する。

貴美子は納得がいかず、意見のすれ違いから八郎は息子を連れて家を出てしまう。

心配と怒りで説得に来た幼馴染の友人に、貴美子は自分の胸の内をそう明かしたのだ。
 
 
貴美子のつぶやきは、私がずっと感じていたことと重なる。

自分がやりたいことをするのに誰の許可もいらない。相談は必要だけれど・・・

子どもだから、女性だからと、自分より大きく力のあるものに押さえつけられ、理不尽な思いをしてきた人はきっと多い。

それが、当たり前のように染み付き、本人すら気づけない自分を縛る縄になっている。

誰かに許しをもらい、認めてもらうために頑張る。

その相手が親から夫になったり、世間になったりするだけだ。

それに気づき、そこから抜け出そうとするのは相当大変なことなのだと思う。

私はこの気づきを人に話すことはあまりない。それぞれの家庭の事情もあるし、理解をあまり得られそうにないから。

だから、こんなドラマのやりとりがNHKで、しかも主婦が多く見ているであろう朝ドラで繰り広げられたことにとても驚いたのだ。
 
 
「目ぇ覚ませ!目ぇ覚ましてくれ!!」と何度も友人が貴美子に強い口調で語りかける。

夫を立てて頭を下げ、離婚するようなことにならないようにと心配する友人の気持ちはよく分かる。

だけれど、目を覚ましてしまったから、こうなってしまったんじゃないかと思わず言いたくなるのも脚本家の狙い通りか・・・。
 
 
このドラマは、貴美子と八郎が心惹かれていく様子に胸キュンしてしまい、途中から見始めた。

八郎沼と話題になる程、八郎と貴美子のやりとりにキュン死した女性が多いのだ。

でも最近、見るのが辛くなってきた。

心に炎を抱えた主人公が成長していく物語は、少女漫画チックな胸キュンとの同居は難しいのだろうか・・・

実在のモデルがいるこのドラマは更なる波乱がありそうで、物語と知りつつもまんまと胸を騒がされている。