初めて御蔵島を訪れたのは三年前の6月だった。
その頃の私は、一歩どころか一言を発することすら躊躇うような状態で、ひどい落ち込みの中に居た。
何故だかイルカというキーワードに惹かれ、日本でもイルカと一緒に泳げることを知った。
ドルフィンスイムツアーを主催するネイチャーガイドの人見 道夫さんと出会い、思い切って御蔵島の旅に参加することにしたのだ。
初めてイルカと泳いだときのことを思い出す。
少し前まで知らなかった世界が目の前に広がっている。眺めているだけで圧倒された。
イルカの優しい目。世界は美しく素晴らしい。まさに祝福だった。
心を大きく揺さぶられ、自分の中にうごめく名前の付かない感情を拙い表現だとしても、言い表さずには居られなかった。
人と話をすることすら億劫だと思っていたはずなのに・・・
旅で感じたことや日々の気づきを文章や詩にした。それはいつしか絵という表現になり、今に繋がっている。
表現をすることで癒され、返ってくる反応や出会った人たちから多くの力をもらった。
初めてイルカと泳いだ日から、私は少しずつ、けれど確実に大きく変わっていった。
転機とは後からそうだと気づくもので、その最中はもがき無我夢中なのだけれど、御蔵島の旅は私にとって転機となった。
今、こうして振り返っているのは、昨日の風の道イベントに参加したからで、懇親会で人それぞれの「イルカで始まる物語」をシェアし合い、あの頃のことを改めて書き留めておこうと思ったのだ。
自然は多くの気づきを与えてくれる。そして一緒に旅した仲間との気のおけない関係によって、どんどん心が緩み、たくさん笑えるようになった。
そんな素晴らしい友人たちと出会えたことが一番の財産だろう。
写真はネイチャーガイド風の道、人見道夫さん撮影です。HP・ブログはこちら